「カムイ電子の誕生は、今考えると奇跡のようなものです」と内山社長は創業当時の混乱を思い出しながら語ってくれました。親会社が業績不振により倒産、内山社長が勤めていた産業用電子機器製造会社も連鎖倒産しました。 「私は総務の担当者として、残務整理に奔走していたのですが、取引先のみなさんから一日も早い事業再開を望む声が次々と上がったのです」。さらに取引先の方々が、それぞれ個別に再興支援を金融機関に働きかけてくれていることを知り、「お客様の信頼に応えなければ」と新会社設立を決意します。

「100社を超える取引先を抱え、多くのお客様から特急品の受注残があるなか、さらに新たな仕事が列をなしていたため、事業再開は待ったなしの状態でした」と、倒産から新会社設立があっという間の出来事であったと内山社長は振り返ります。 「技術や製造現場に疎い総務畑の私と営業及び製造の責任者の二人が中心となり、計9人の仲間で会社設立に無我夢中で邁進しました」。設立後は、自分が社長でいいのかと思い悩むこともあったといいますが、仲間とお客様に支えられてなんとか今日までがんばれたといいます。

「どんなに技術が進み、高度な設備による機械化が進んでも、扱う人間がいてこその技術です」。優れた技術と豊富な経験を持つ仲間たちが散り散りになる前に、カムイ電子にひとりでも多くの仲間を呼び寄せたいとの思いで仕事に打ち込んできたといいます。

前職の倒産で全員が解雇となり大変な目にあったので、“絶対につぶれない会社”をつくると自分に誓ったと内山社長は語ります。「仲間が安心して働けること、お客様に安心して仕事を出していただけること、この２つの信頼を経営の根幹とし、堅実に事業を伸長させてきました」。 そして、これから一緒に働くことになる「将来の仲間たち」にも安心して入社してもらえる会社に育てたいと内山社長は意気込みます。